2015/03/06
政務活動費による自民党県議団の海外視察、年度をまたいだ違法・不当支出について住民監査請求
住民監査請求書
請求の要旨
埼玉県議会自民議員団の野本陽一議員、井上直子議員、神谷裕之議員、奥ノ木信夫議員(視察当時)、梅澤佳一議員、小林哲也議員、加藤末勝議員、星野光弘議員、中野英幸議員、須賀敬史議員、齋藤邦明議員、新井一徳議員、小川真一郎議員、柿沼トミ子議員の14名は、2013年4月1日から4月8日、アメリカ視察を行っていますが、当該視察の費用は、2012年度、2013年度の両年度に渡っての政務活動費から支出しています。同一の視察において2012、2013の両年度の予算より支出することは、地方自治法208条(会計年度及びその独立の原則)、地方自治法施行令143条(歳出の会計年度所属区分)に違反しています。
よって、当該視察に使用した2012年度の政務活動費7,187,990円、2013年度の政務活動費4,024,750円、合計11,212,740円の埼玉県への返還を、上田清司知事が埼玉県議会自由民主党議員団に要求するよう、監査委員の勧告を求めます。
請求の理由
1 埼玉県議会自民議員団の野本陽一議員、井上直子議員、神谷裕之議員、奥ノ木信夫議員(視察当時)、梅澤佳一議員、小林哲也議員、加藤末勝議員、星野光弘議員、中野英幸議員、須賀敬史議員、齋藤邦明議員、新井一徳議員、小川真一郎議員、柿沼トミ子議員の14名は、2013年4月1日から4月8日にかけてアメリカ視察を行っています。《添付資料1》
2 当該視察の旅費は、1人当たり798,000円であり、2012年度の政務活動費より、2012年3月22日に1,596,000円(2人分)、3月25日に 3,192,000円(4人分)、3月26日に798,000円(1人分)、3月27日に798,000円(1人分)、3月28日に798,000円(1人分)、3月29日に5,990円(交通費)、合計7,187,990円が支出されており《添付資料2》、2013年度の政務活動費からは、4月1日8,000円(電車代)、4月8日に824,750円(1人分798,000円、バス運賃2,750円、交通費24,000円)、4月10日に798,000円(1人分)3,192,000円(4人分)、合計4,024,750円が支出されています。《添付資料3》
3 財務省の繰越ガイドブック(平成22年3月23日)では、会計年度独立の原則について以下のように記しています。
「…会計年度の設けられた趣旨は、一年間の歳入歳出の状況を明確にし、財政の健全性を確保することにある以上、その期間に起こった収入と支出は一切この期間に完結し、整理し、他の年度に影響を及ぼさないことが本来の建前です。…」
埼玉県議会自民議員団の当該視察は会計年度独立の原則を無視したものであり、地方自治法208条(会計年度及びその独立の原則)、地方自治法施行令143条(歳出の会計年度所属区分)に違反しています。《添付資料4》
4 また、2014年4月17日から4月23日に行われた埼玉県議会自民党議員団イギリス・フランス視察に、野本陽一議員、井上直子議員、神谷裕之議員、梅澤佳一議員、小林哲也議員、星野光弘議員、齋藤邦明議員、新井一徳議員、小川真一郎議員、柿沼トミ子議員の10名が参加し、2013年度の政務活動費を使用しています。《添付資料5》
5 しかし、この視察の支出として3月26日から31日までに6名分の費用5,910,000円(1人985,000円×5名分、1人950,000×1名分)と交通費11,050円の領収書が添付されているだけで、最低でも、あと4人分の費用が請求されていません。この4人分の費用は、2014年度の政務活動費より支出するつもりなのではないかと疑われます。そうであるならば、このイギリス・フランス視察も地方自治法208条、地方自治法施行令143条に違反することになります。《添付資料6》
6 4月に海外視察を行い2つの年度に渡って支出することは、前の年度に残っている政務活動費をまず使い、足りない分は次の年度で補充するというやり方をしているのだろうと考えられます。結局、目的は前年度の政務活動費を使い切ることではないかと思われるのです。
7 海外視察については2003年11月の「産業・防災アジア行政視察団」の東南アジアへの視察で、女性を買って遊んでいたとしか思われない場面が日本テレビで全国放映され多くの県民から非難されましたが、この時の視察についての真相解明や再発防止策など行われずに現在に至っています。この視察以来、県議会で議決を通しての海外視察は、姉妹都市以外行われていません。《添付資料7》
8 現在、議会の決定として行うことのできない海外視察は、調査研究の名目で政務活動費を安易に使用して行われています。しかし、その行為が、会計の基本中の基本である会計年度独立の原則を平然と犯し、政務活動費の使いきりに利用するものだとすれば、言語道断です。県民の代表である議員として許されるものではありません。
9 2013年4月1日から4月8日に行われた埼玉県議会自民党議員団アメリカ視察において使用された2012年度の政務活動費7,187,990円、2013年度の政務活動費4,024,750円、合計11,212,740円の埼玉県への返還を、上田清司知事が埼玉県議会自由民主党議員団に要求するよう、監査委員の勧告を求めます。
10 地方自治法第242条第2項については、「正当な理由」があります。上記事実を確認することができるのは、2013年度の政務活動費収支報告書と貼付書類が公開された2014年7月17日以降です。そして、2012年度、2013年度の両方の政務活動費(政務調査費)収支報告書・貼付書類を調査することが必要ですが、それぞれの年度ごとの調査でもかなりの時間がかかる中、2012年、2013年、両年度の情報公開請求の手続きも必要になり、2つの年度に渡っての調査までは、なかなか対象とし得ることができないのが現状です。そんな中、相当の注意力をもって調査を尽くし、本日の請求となりました。
請求者 (略)
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙添付資料を添え、必要な措置を請求します。
2015年3月6日
埼玉県監査委員 宛