2015/10/27
11月6日は井戸川裁判を支える会結成総会・集会
元双葉町長だった立場の井戸川克隆さんが東電と国を相手どって起こした訴訟。これまで東電と国が原発立地の自治体に対してどのような工作を行ってきたのか、それが一方の当事者である首長が渾身の勇気と生命を賭した全面対決の決意で裁判に臨まれることの意味を受けとめたいと思います。
井戸川さんは、東電と国が言い募ってきた「原発の安全性」とその未来を信じ込まされ、それを町民に流布する責任上からも幾重にも東電と国に対して厳しく求めてきたにもかかわらず、その対応が全て不誠実かつ嘘で塗り固められていたことが、3・11後の事故で故郷も町も人々も暮らしも全てが奈落に落とされる形で思い知らされることになりました。結果的に町民をだます立場でもあった自らが、身をよじられるほどの悔恨と無念を抱きつつ、一刻の猶予もない中でなお町民の生命と安全のために集団移転を推し進められた唯一人の果断な首長であったということは、その職務に伴う結果とプロセスに対して本当に誠実に向き合ってこられた証左だと思います。
なぜ、取り返しのつかない大事故の後なのに他の原発の再稼動向かうのか、国と事業者による立地自治体に対して行われたその欺瞞の工作のメカニズムを具体的に裏付ける書証が明るみに出されるだけでも、井戸川裁判の意義は大きい。しかし、井戸川さんの名望はともかく稀なる立場ゆえ、それを理解する近縁者は少なく、その闘いを共有する者はさらに少なく孤立無援に近いのです。
また、井戸川さんが提訴したタイミングは、福島原発事故のインパクトにうながされ、「脱原発」「原発ゼロ」と高揚した波が引き、人々の意識に無関心が戻りつつある時期なのです。その提訴に反応した者は、自らも現実の理不尽何か出来ないかと、もがき苦しみ模索している者のように見えます。井戸川さんの東電と国に対する情念が、行き場を失った私のような者を引き寄せています。いまはそれで仕方ないように思います。
今後、井戸川裁判の行方が何かを拓いていくのかも知れません。まだ形がはっきりしているわけではないのですが、出来ることはやっていこうと思っています。
…………………………………………………………………………………………………………………
民をだまし大地と海を汚した
東電と政府の責任を問う
私は、今回の原発事故により、計り知れない被害を受け、数えきれないほど多くのものを失いました。東電と政府の責任を問う
原発事故直後に大量の被ばくをしました。これにより、今日までの間、健康被害の恐怖や不安に脅え続けています。この恐怖は、一生涯にわたり続くものです。また、原発事故により、強制的に故郷を追われ、長期間にわたり不慣れな土地で避難生活を強いられています。避難生活の過程で被った苦痛は、筆舌に尽くしがたいものです。しかも、避難生活は、故郷に戻れるまでの間、半永久的に続きます。さらに、原発事故により、家督や故郷、仕事や財産、コミュニティや伝統文化、平穏な日常生活や自然環境、将来の夢や希望などが根こそぎ奪われました。私は、故郷を愛し、井戸川家を大切にするとともに、双葉町町長として、すべての町民が夢と希望を持って生活できるように、自己犠牲を払ってきたつもりです。しかし、今回の原発事故により、すべてを失ってしまいました。
今回の原発事故は、国や東京電力の落ち度による人災です。それなのに、国や東京電力は、何の落ち度もない私たちからすべてを奪った責任を取ろうとはしません。私は、国と東京電力に対し、被害の完全な回復を求めて、今回の裁判を起こしました。
(第1回口頭弁論「原告意見陳述」冒頭部分より)
井戸川裁判(福島被ばく訴訟)を支える会結成総会・集会に ご参加を
日時:11月6日(金)
時間:開場15:00~ 開演15:30~18:00
会場:参議院議員会館・講堂
第1部 総会 開会15:30~
第2部 集会 開会16:30~18:00
