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クルド文化協会で記者会見―トルコ大使館前の事件の発端と真実を明らかにするために

10月28日、10月25日のトルコ大使館前暴行事件に対してクルド文化協会が自らの事務所において記者会見を行ないました。

この記者会見の目的は、トルコ大使館前のトルコ人とクルド人の「乱闘事件」について、メディアやネットで広がっているトルコの旗と「PKKの旗」をめぐるやりとりが衝突の原因という説に対して、事件の発端となった一方的な襲撃という事実を提示することで「喧嘩両成敗」的な態度や見方を改めてもらい、その襲撃の背景としてトルコの6月総選挙でのAKP(公正発展党=政権党)の敗北と11月1日出直し選挙、その在外投票(10月25日)のもつ意味を説明し、クルド人の基本的な立場を表明することでした。(発表された「声明」)
クルド文化協会・記者会見

クルドを知る会では、この記者会見をサポートし、この記者会見を各メディアへの通知、クルド弁護団の大橋弁護士とのセット、クルドを知る会の声明発表(下段↓)、当日の記者会見準備の手伝いと立会いを行ないました。

この記者会見には、大手放送局と新聞・通信社のすべて、ロイターやフリーのジャーナリスト、研究者なども参加されました。

記者会見は、13時~14時30分くらいまででしたが、声明の日本語をアルファベットに打ち直してあるものを読み上げるために時間がかかりました。

質問では読売と産経が、旗で挑発したんじゃないか、としつこく質問していました。これに対して文化協会は、最初に襲われたクルド人が載っていた車内にYPBの旗をもっていたのは事実だが、ほんの小さな三角の旗(ペナント)で挑発的に掲げたわけでもなく、クルド人の旗でもない、メディアは旗を問題にしているが、襲ったトルコ人は「クルド人を殴るのに理由は要らない」と言っており、旗は口実と説明。

(YPB=人民防衛隊は、シリアのクルド人を主体にイスラム原理派から圧迫されている色々な民族、宗教グループ混成の武装組織。シリアのコバネーを襲ったISをYPGが唯一地上戦で撃破したことで一躍国際的に注目され、対ISの希望の星となっている) 

この質問に関連して、大橋弁護士から、「仮に旗を掲げたとしても、ここは日本なので、それが罪に問われることはない。暴行を加えてよいことにはならない。これは傷害事件ですからね。そこのところ、皆さんちゃんと抑えてくださいね」と一言。

また事実確認として、襲われたクルド人が「クルドを知る会」の声明では5人となっているが、文化協会の声明では4人とあるがとの指摘に対して、当初襲われたのは5人、その内、負傷したのが4人と整理。負傷した4人の今後についての質問には大橋弁護士が、捜査に当たっている原宿署に立件を促す要望を午前中に出したこと、今後、この襲撃を暴行障害だけでなく、鉄パイプを用意しての襲撃であり被疑者不詳で殺人未遂まで視野に入れていることも説明された。

他には、灰色狼(民族主義者行動党MHPの青年組織)の日本での存在を質問した方がいました。質問の趣旨が分からないが、攻撃的なトルコ人たちのことと受け止め、これには「分からない」と前置きしながら、6月選挙の日本での政党別得票の内訳について、MHP→25、AKP→147、CHP(共和人民党:アタチュルク派)→76、HDP(人民民主党:クルド人が支持)→381 (トルコ大使館のHPから)と説明。

今回、在日本トルコ大使館に2か月前から選挙のための事前登録受付があり、6月時の登録者を含め10月25日現在で総登録者数は2931人、その内の1194人が今回投票した(トルコ大使館の発表)。クルド文化協会が把握した登録者は約600人としています。

記者会見から2日経ってメディア・ネットの報道や反応を見ると、記者会見の目的に沿ってそれぞれ一生懸命手を尽くし、説明を尽くしたように思えたが、流れは変えられていないように思えます。

  「争うつもりはない」 乱闘事件でクルド人が記者会見【共同】  
  「平和的に解決したい」=在日クルド系団体が会見-トルコ大使館前乱闘【時事】 
  トルコ大使館前乱闘:在日クルド人「平和的に解決したい」【毎日新聞】

この他、このコピペ情報ばかりです。

はじめは、トルコ人とクルド人の乱闘―喧嘩両成敗報道から、記者会見の後の報道は、一方的な在日クルド人謝罪の流れになってきていて、本意が歪められたものになっています。

以下、クルドを知る会の声明を下に資料として載せておきます。

…………………………………………………………………………………………………………………
2015.10.28

2015年10月25日のトルコ大使館前暴行事件に対する見解
クルドを知る会
代表 松澤秀延
事務局 さいたま市浦和区常盤3-18-20-803
TEL 048-834-1232 FAX 048-833-6861

 10月25日、6月のトルコ議会選挙でエルドアン氏率いる与党AKPが過半数割れしたことによる出直し選挙の在外投票日に、トルコ人とクルド人による衝突騒ぎが起こったことは、各報道により世界に周知されています。けれども、内外のメディアのなかには、事件の発端について「クルドの旗を掲げていた」「トルコの旗を奪った」などという警察発表に終始し、一般的な民族問題、あるいは在日外国人問題として報道しているところも多いようです。
 このため、重要なこの事件の真相が今、非常に見えにくくなっていることを、わたしたちは憂慮しています。

 大切なのは「この日の朝6時台に、一体何が起こったのか」です。まず最初に、この時間帯に、自動車のなかで寝ていた3名と外でタバコを吸っていた2名、計5名のクルド人の若者が、複数の何者かにより激しい暴行を受けています。鉄パイプが使用されたとの情報もあり、この攻撃により負傷したクルド人は重症です。彼らはただそこで、投票の開始を待っていただけの若者です。
 実行犯逮捕については警察の捜査に任せなければなりませんが、わたしたちが知らなければならないのは、誰が、何の目的でこのような事件を準備し、どのような方法で暴力を実行したのかについてです。この結果として、負傷者が出ていることのほかに、在日クルド人の投票行為そのものが妨害されたのです。この騒ぎのために投票せずに帰ってしまった人たち、騒乱の情報を知って投票所へ来るのをとりやめた人たちもいました。今回の選挙への、クルド人の投票を阻止することによって利するのは誰なのか、在日クルド人たちに汚名を着せたがっているのは誰なのか、このことについて、背景も含めて明確にしなければなりません。
 これは、暴力を否定し、民主的で公正な選挙を支持するための行動であり、わたしたち日本人にとっても非常に大切なテーマです。

 クルドを知る会は、2003年に在日クルド人1世たちが設立したクルディスタン&日本友好協会をサポートするために、同年結成された日本の市民による団体です。彼らとの12年にわたる付き合いのなかで、クルドの文化を知り、クルドの民族問題を学び、日本における入管難民問題を考え、そしてこの蕨・川口地域住民と在日クルド人との交流を深める取り組みを進めてまいりました。
 わたしたちは、若いクルド人たちに加えられた理不尽な蛮行による彼らの心身の痛み、両親に手を引かれてこの場を訪れ、混乱を目の当たりにしてしまった子どもたちの恐怖、また友好的なトルコ人たちが感じた失望を共有しています。そして、同時に民主的な制度を身勝手な行為で叩き潰そうとする存在に対して、断固として異を唱えるものです。

トルコ大使館前事件の本質は、クルド人に対する選挙妨害


10月25日、「NHKをはじめ、テレビ各局が駐日トルコ大使館まえでのトルコ人とクルド人の衝突のニュースを流していると、クルドを知る会の仲間から11時頃、一報が入った。それで、夕方、クルドを知る会の集まれる者で蕨にあつまり、それまで情報収集し、意見交換と対策を相談することを確認。その後、ニュース動画とネットの反応を確認し、連絡と仕事、メディアの取材、他の会議を終え蕨に向かう。

蕨の集合場所には、当日、現場に朝から行っていた古参のクルド人と女性を含む4人がいた。

クルドを知る会の相談をはじめたら、クルド弁護団の弁護士から電話が入り、暴行を受けて負傷した(4人)人から聞き取りをした内容が詳しく報告された。それと、日本語が堪能なAさんを中心に当日の一部始終の聞き取りを行なった。

10月25日は、6月の選挙でAKPが過半数割れにより組閣が不調に終わり、国会(定数550)の出直し総選挙(11月1日)のための在外投票日だった。

<弁護士による最初に攻撃され負傷したクルド人からの聞き取りの報告> 
10月24日の夜より六本木あたりで遊んできた若いクルド人5人が、25日の投票に備えて、早朝よりトルコ大使館前に車を止め、3人が車のなかで就寝、2人が外でタバコを吸っていた。

その若いクルド人たちの車の前と後ろに、セダンがピッタリとくっついてクルド人の車が逃げられないように停車する。そこから数人の男たちが降りてきて、6時20分ごろよりクルド人ののど首を締め上げなから殴りつけはじめた。

彼らは、「この前は(6月の選挙)俺たちがいなかったから、あんなことになってしまったが、(AKPの半数割れ。トルコ在外大使館中、日本におけるHDP得票率59%という際立った高さだった)今回は俺たちがきたからあんなことにさせない…」と言い、投票を妨害する目的を明確に口にして、鉄パイプみたいなもの)などで襲撃、激しく暴行を働いた。

注)AKP(公正発展党=イスラム主義でトルコの政権政党)
  HDP(人民民主党=トルコの左派勢力とクルド人勢力が合同した政党で、代表はクルド人)

その報告を聞きながら、難民申請しているAさんが補足するように話に加わってくる。

<Aさんから聞いたこと>
その頃、名古屋から2台のマイクロバスが到着、約50名ほどのトルコ人が暴行に加わった。同胞が襲撃されていることに気づいたクルド人たちは救助に向かい、トルコ人の暴行を止めに入ったが、簡単には止まらなかった。その場にいたクルド人はバスのなかに鉄パイプのほか刃物などの武器がたくさん用意されていたのを目撃した。

Aさんは7時ごろに到着、トルコ人たちはトルコ国旗を掲げ、人差し指を空にかざしながら、ISのスローガン「アラー・アクバル、アラー・アクバル」と興奮しながら連呼していてスゴイ雰囲気だった。その場にいた警官3名に「このままでは大変なことになる。もっと大勢の警官をよんでください」と要請。

最初に暴行を受けたクルド人は重症、一人は意識不明、明日、手術を受ける予定。最初の襲撃のとき「警官がいなければ、殺されていた」と言っていた。

その間にも、クルド人たちは投票のために続々と到着、投票後は家族で遊びにでかけることを楽しみにしてきた子どもたちも、大勢がその状況を目撃している。母親と子どもたちは、近くのコンビニエンスストアに逃げ込む。店員がその状況をみて、入り口を閉鎖、子どもたちは怯えて泣き叫び、女性たちはショックで倒れる人が続出した。クルド人母子たちはコンビニがシャッターを閉めて内部で30分間、匿われる。

以上が朝6時台から7時過ぎの出来事。今回の事件の原因であり発端であり、ニュースで言っている「トルコの旗」だとか、「クルドの旗」だとか、そういうことが発端ではまったくない。

これは明らかに計画的な襲撃で、暴行傷害事件、選挙妨害事件だ。

たくさんの動画は11時台のもの。トルコの旗を振っているトルコ人から、「今度トルコ大使館に来たら、パスポートを取り上げろ!」などと暴言を吐かれたり、棒や石で殴られたりした人もいた。この結果、多くのクルド人が投票せずに帰宅したり、投票所へ来ることを取りやめたりした。クルド人のなかには難民申請している人も多く、仮放免中のため移動制限もあることから、入管とのトラブルを恐れた人もかなりいたのではないか。

投票は7時から21時まで。行列はトルコ人だけのものと、クルド人とクルド人を攻撃しないトルコ人の2本できた。トルコ人の行列には大使館から飲み物が提供されていた。投票するときはぞぞれの列から10人づつが入り、大使館内の右と左に別れて投票する。クルド人の列の一人当たりに与えられている投票時間は9秒間だけと非常に短い。

今回の事件は、在日トルコ人による在日クルド人に対する投票妨害活動であろう。これはトルコ国内の状況、アンカラの爆弾事件とも連動しているのではないかと思う。

…………………………………………………………………………………………………………………

21時頃、大使館内で投票に立ち会ったクルド人からAさんに入った電話によると、片側の列で投票に来たのは540人位ということだった。

弁護士の報告とAさんたちの話から、クルドを知る会としては、日本においてこのようなことが行われたことを黙認することはできない。今回の出来事に抗議し、被害を受けたクルド人の診断書をとり、被害届提出と告訴を支援することを決め、一連の報道に対して事実をきちんと伝えるための記者会見が必要で、その設定を追求することを決めました。

記者会見
10月28日13時、クルド文化協会の事務所において、弁護士とクルド文化協会、クルドを知る会による記者会見を行なうことにしました。(10月26日現在)

(長内経男)

追記: 現在、蕨・川口中心にクルド人が増えているように思われます。特に女性と子どもが目につき、それ以前は200人から500人位の間の増減が繰り返されていたのに、3・11以降、建設現場等での人手不足を補うかのようにクルド人が増加し、一説には2000人にものぼるのではないかとも言われています。

クルド料理のお店【めそぽたみ屋】が5月31日(土)出店

【めそぽたみ屋】クルド料理の店
~出店のお知らせ~

5月31日(土)ワンデイシェフレストラン 「ぷらっと」 (蕨駅西口を出て蕨銀座商店街) に出店します。
11時00分~14時00分 (※ランチのみの営業です)

ランチメニューは、
       *トゥルー:肉炒め料理(牛肉・野菜・サルチャ)
       *パスタ入りライス
       *チェケレキ:  ヨーグツト・チーズ
       *エキメッキ:   ナン 
       *ベゼリヤ:    スープ (グリンピース・ジャガイモ・サルチャ)
       *チョウバンサラダ 
       *カルパスタ:  デザート
       *チャイ:     紅茶

このセットで800円です。
料理は50名分用意します。
料理はクルド人のお母さん、可愛らしい女の子たちがお店を手伝います。

【めそぽたみ屋】
は、「クルドを知る会」が主催するクルド料理のワンデイシェフレストランに出店するときの屋号です。

クルドを知る会 のfacebook

「ぷらっと」の場所 ↓
ぷらっとの地図

ワンデイシェフレストラン 「ぷらっと」 | 一般社団法人 蕨市にぎわいまちづくり連合会
www.warabi.ne.jp

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市民じゃ~なる編集部

Author:市民じゃ~なる編集部
「平和・人権・自治と共生をめざす草の根ジャーナリズム」。地域の草の根として発信するミニコミメディアの編集部のblogです。
メール:osanai@jca.apc.org
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FAX 048-833-6861
郵便振込:00150-2-144707
(名義:市民じゃ~なる)
〒330-0061
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